着物通販ショップオンラインきもの見本市 | 着物仕立代金込価格

ようこそゲスト

プレスリリース - 2007年10月1日(朝日新聞)

プレスリリース - 2007年10月1日(朝日新聞)

朝日新聞_2007年10月1日_週刊まちぶら_生国魂神社かいわい
朝日新聞2007年10月1日月曜日33ページ『週刊まちぶら-生国魂神社かいわい-大阪市天王寺区』
朝日新聞 2007年10月1日月曜日 33ページ『週刊まちぶら』より抜粋

江戸上方文化の主舞台

大阪の街はのっぺりとしていて色が薄い。
だがここ上町台地だけは小高い丘だ。坂が延び、緑が濃い。
作家の織田作之助は「木の都」とこの地を書いた。
猛暑の昼下がり。参道には木陰を求めて車の列が延びていた。
タクシー、工務店の車……。サボっている、サボっている。
ここはドライバーの昼寝の穴場である。

社務所を訪ねた。
権禰宜(ごんねぎ)の中村文隆さん(32)の案内で2階から豪壮な造りの社殿を 見た。
鞴(ふいご)神社、浄瑠璃神社……多くの境内社がある。
「よいものをどんどん吸収していったのです」。これも大阪らしさか。

拝殿の横、お札などの授与所に巫女の宮本紗知子さん(26)と光川有紀子さん(26)がいた=写真1。
巫女長の宮本さん(右)は学生時代は福祉を学んだそうだ。畑違い?
「いえ、どちらも福を願う仕事ですから」。笑顔の福々しい娘さんたちだ。

生国魂神社の社殿
生国魂神社の社殿
屋根に破風を重ねて乗せた豪壮な様式は「生国魂造」とよばれる
=大阪市天王寺区生玉町で

境内には文豪・井原西鶴の像がある。
俳譜師でもあった西鶴はここで一昼夜で4千句を独吟する記録を立てて名を売った。
生国魂は江戸上方文化の主舞台でもあった。

境内の西は断崖だ。古くはここまで大阪湾の波が打ち寄せた。
この崖を背に「崖縁占」の小屋が立つ。
伊藤象慧さん=写真2=が手相、四柱推命を見ている。
左手をそっと差し出すと、「あなた……運命線にやや難がありますねえ……」。
崖っぷち?
いや、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある?

神様の「輿」再建手がけ

再び表参道へ。
表門の脇に公園がある。ここはかつて蓮池だった。
近松門左衛門の「曽根崎心中」で、徳兵衛が悪だくみにはまり、悪党に殴られる場だ。
舞台はここから破滅の道へと転じていく。

「宮栄神具店」の看板が目についた。
店主の秋吉一元さん(76)=写真3=が取り組んでいるのは生国魂神社の「鳳輦(ほうれん)」の再建だ。
祭りのときこの輿(こし)に祭神をのせる。
戦前は天神祭の船渡御、生国魂の陸渡御と言われ、大阪の夏祭りの人気を二分した。
だが、大阪空襲が神社一帯を焼き払った。
「鳳輦も焼けてありまへん。戦前の写真を基に再現してます」と秋吉さんは言った。

参道を先へ。
「ラッキースターボクシングクラブ」の佐藤信一郎マネジャー(42)=写真4=は大阪芸術大の監督。
交通の便が良いのでこの地でジムを開いたそうだ。

谷町筋を渡った。
幅40メートルの大通りは、かつては6メートルほどの細い道だったが、大阪万博などを機に拡張された。
表参道は寸断された。
まちから路地が消え、門前の仕舞屋は櫛(くし)の歯が抜けたようになった。
にぎわいは道で失われたと嘆く地元の人が多い。

寸断された東半分の表参道は生玉表門筋の商店街として残るが、ここも空き店舗が目立つ。
呉服店「まつかわや」を営む高畑勝さん(70)=写真5=は浄瑠璃新内節の太夫でもある粋人。
「天満の商店街のように、にぎやかな街に戻したいのですがね」

夕闇に浮かぶ恋人たち

生玉の風景を伝えるのに、避けて通れない要素がもうひとつある。
原色ネオンのホテル群だ。
神社の周りで、寺とホテルが数を競っているかのようだ。
江戸時代、このあたりには出会い茶屋が軒を並べたというから、根っこは案外と深い。

神社の森を遠巻きにひと回りしてみた。
まず千日前通を西へ、ミナミ方面へと下った。
天王寺七坂の一つ真言坂が左手、北門から下りてくる。
タマネギをいためる香りがしてきた。「グリルこがね」。創業49年目。
店主の中西正一さん(53)=写真6=は2代目だ。
メニューの柱はA、B、C、D、特別とあるランチセット。
創業から変わらぬ、懐かしい形と表現を守っている。

松屋町筋との交差点。ここを南へ曲がると、下寺町だ。
寺の伽藍が延々と続く。最初が浄土宗大蓮寺。
生国魂神社境内と背中合わせのように立っている。
秋田光彦住職(51)=写真7=はかつて映画人だった。
「狂い咲きサンダーロード」などの脚本を書いたが、30歳を前にUターン。
「都心に
蓄えられた時の重みを感じつつ暮らしています」。
塔頭寺院の鷹典院を97年に再建。
アートや市民活動の拠点になっている。

源聖寺坂の石畳を上った。背後のビル群が夕日の赤に染まった。

寺町はじきに暗がりに沈み、ホテルのネオンが夜空に浮かび上がった。

恋人たちがゆったりと坂を上っていく。

戻る

TOP